個人事業主向け節税策5選

相続・贈与でお困りの方へ

個人事業主が優先すべき「お金が残る」正統派節税5選

アバター画像

税理士 田澤壱高

青森市を中心に活動する、ひとり税理士です。 クラウド会計・オンラインでのやり取りを基本とし、 記帳や資料管理の手間をできるだけ減らすことを大切にしています。 完全なペーパーレス運用を目指しながら、 経営判断に集中できる環境づくりを支援します。

個人事業主やフリーランスにとって、避けて通れないのが「税金」の悩みです。

しかし、やみくもに経費を使うだけでは、手元の現金が減るばかりで事業は成長しません。

今回は、数多くの節税策の中から、税理士が推奨する「手元にお金を残しながら税金を減らす」正統派の節税策を5つ厳選して解説します。

税理士田澤
税理士田澤

ネットに溢れている「間違った節税」より、まずはこの5つを優先しましょう。

最初に知っておきたい「お金が残る節税」vs「お金が残らない節税」

「お金が残る節税」と「お金が残らない節税」の違い

節税には、手元のキャッシュが増えるものと、逆に減ってしまうものの2種類があります。

お金が残らない節税(キャッシュアウト型)

  • 仕組み:経費を支払うことで利益を減らし、その分だけ税金を安くする方法です。
  • 特徴:「節税額 < 支出額」となるため、税金は減っても手元の現金は必ずマイナスになります。
  • 代表例:不要な備品の購入、度を越した飲食代など。

お金が残る節税(資産形成・仕組み型)

  • 仕組み:支出を伴わない「控除」や、将来自分に戻ってくる「積立」を活用する方法です。
  • 特徴:手元の現金を減らさずに済む、または支払ったお金が「将来の貯金」として蓄積されるため、実質的な資産が増えます。
  • 代表例:青色申告特別控除、小規模企業共済、iDeCo、家事按分など。

「経費」と「所得控除」の効果・違い

「経費」と「所得控除」の違い

節税策を理解する上で、計算のどの段階で差し引かれるのかを知ることは重要です。

必要経費(売上を得るために必要な支出)

  • 定義:事業を運営し、売上を上げるために直接必要だった費用のことです。
  • 計算段階:「売上 − 必要経費 = 事業所得」の段階で差し引かれます。
  • 本記事の該当例:経営セーフティ共済、家事按分。

所得控除(個人の事情に配慮した差し引き)

  • 定義:納税者本人の家族構成や、支払った保険料など、個人的な事情を考慮して税負担を軽くする制度です。
  • 計算段階:「事業所得 − 所得控除 = 課税所得」の段階で差し引かれます。
  • 本記事の該当例:小規模企業共済、iDeCo。

税理士が厳選!「お金が残る」正統派節税5選

① 青色申告特別控除(最大65万円控除)

【タイプ:支出ゼロでお金が残る】

  • 概要:複式簿記での記帳と電子申告(e-Tax)などを条件に、所得から最大65万円を差し引ける制度です。
  • メリット:実際にお金を支払うことなく、税率に応じて数万円〜数十万円の税金を減らせるため、最も優先すべき対策です。
  • 改正の注意:2027年分(令和9年分)以降、紙で申告すると控除額が10万円に引き下げられる予定です。
税理士田澤
税理士田澤

今からクラウド会計ソフト等を導入し、電子申告に対応しておくことが不可欠です。

青色申告65万円控除を死守する完全ガイド・2027年改正対応のアイキャッチ
【令和8年度改正対応】個人事業主の青色申告65万円控除を死守する完全ガイド|2027年からの75万円控除・紙申告リスクも徹底解説

令和8年度税制改正で2027年から青色申告特別控除はどう変わる? 75万円控除の新設・55万円控除の廃止・紙申告の実質増税リスクを、青森市の税理士が一次情報をもとに解説。65万円控除を確実に取るための実務4ステップとシミュレーションも掲載。

② 小規模企業共済

【タイプ:将来にお金が残る】

  • 概要個人事業主のための「退職金積立制度」で、掛金の全額が所得控除されます。
  • メリット:月額最大7万円(年84万円)まで積み立て可能で、節税しながら将来の備えができます。
  • 活用:積立金の範囲内で低利の貸付を受けられるため、急な資金ニーズにも対応可能です。
  • リスク:20年未満で解約すると元本割れする可能性があります。
【課税所得別】小規模企業共済で個人事業主の節税額はいくら?月掛金別シミュレーションのアイキャッチ
【課税所得別】小規模企業共済で個人事業主の節税額はいくら?月掛金別シミュレーションを税理士が公開

小規模企業共済で個人事業主の税金はいくら安くなる?課税所得別・月掛金別に、所得税・復興特別所得税・住民税を含めた年間節税額を税理士がシミュレーション。受取時の出口戦略も解説します。

③ iDeCo(個人型確定拠出年金)

【タイプ:将来にお金が残る】

  • 概要自分で選んだ商品で運用する「自分年金」で、掛金が全額所得控除されます。
  • メリット:運用益が非課税になる上、受取時も退職所得控除などの税制優遇があります。
  • 注意原則60歳まで引き出しができないため、余裕資金での運用が鉄則です。
税理士田澤
税理士田澤

まずは資金の流動性が高い「小規模企業共済」を優先することをおすすめします。

個人事業主のiDeCo出口戦略を解説する記事のアイキャッチ画像
【2026年版】個人事業主のiDeCo出口戦略|小規模企業共済との併用・受け取り方で損しない完全ガイド

個人事業主のiDeCo出口戦略を税理士が解説。退職所得控除の計算、小規模企業共済との併用・受け取り順、2026年の改正点まで整理し、一時金・年金で損しない受け取り方を具体的にまとめます。

④ 経営セーフティ共済(倒産防止共済)

【タイプ:将来にお金が残る(経費扱い)】

  • 概要:本来は連鎖倒産を防ぐための制度ですが、掛金が全額「経費」になります。
  • メリット:40ヶ月以上の加入で解約手当金が100%戻ります(掛金総額800万円まで)。
  • ポイント:解約時は「収益(雑収入)」となるため、赤字の年などに解約して相殺するのが定石です。
  • 注意点:個人事業主は法人と違い「自分への退職金」で相殺することができないため、解約して課税を回避するタイミング(出口戦略)が難しい側面があります。加入は慎重に検討してください。
経営セーフティ共済とは?
経営セーフティ共済とは?「連鎖倒産防止」と「節税」の2つの武器をわかりやすく解説

「もしも主要な取引先が倒産してしまったら、ウチの事業はどうなるだろう?」 「今期は利益が出そうだけれど、税金を払うだけで終わるのはもったいない……」 経営者なら誰しも抱えるこうした悩み。実は、国が用意 ...

⑤ 家事按分(家賃・通信費などの経費化)

【タイプ:生活費を有効活用してお金が残る】

  • 概要:自宅の家賃やスマホ代のうち「仕事で使っている割合」を事業経費にします。
  • ルール:面積や使用時間など、客観的な根拠に基づいた算出が不可欠です。
  • 注意:100%経費にすることは事実上不可能で、プライベート分を除外(自己否認)しておくことが税務調査対策として重要です。
  • 持ち家の注意点:住宅ローン控除を受けている場合、事業用として経費計上する割合を増やすと、居住用部分が減り「住宅ローン控除額」が減ってしまうリスクがあります。必ず事前にシミュレーションを行ってください。
家事按分の割合の決め方を解説する記事のアイキャッチ(個人事業主向け)
家事按分の割合の決め方|個人事業主が家賃・通信費・車を何割経費にできるか税理士が解説

「自宅の家賃やスマホ代を経費にできるのは知っているけれど、結局『何割まで』にすればいいのか分からない」——家事按分でいちばん多い悩みが、この割合の決め方です。 家事按分の割合には、法律で決まった数字が ...

ひと目でわかる!おすすめ節税策比較表

制度名分類節税の仕組み資金の流動性
青色申告特別控除仕組み(経費扱い)支出なしで所得から控除非常に高い
小規模企業共済所得控除掛金全額が所得控除普通(貸付あり)
iDeCo所得控除掛金全額が所得控除低い(60歳まで不可)
経営セーフティ共済必要経費掛金全額が経費高い(返戻金あり)
※出口戦略に注意
家事按分必要経費生活費の一部を経費化非常に高い
※ローン控除に注意

まとめ:賢い節税の優先順位

まずは支出を伴わない「青色申告」「家事按分」を完璧にしましょう。これだけで数万〜数十万円の手残り額が変わります。

その上で、利益に余裕が出てきたら、将来への貯金になる「小規模企業共済」「iDeCo」を検討するのが、個人事業主にとって最も健全で失敗の少ないルートです。


まずは、自宅家賃やスマホ代が適切に「家事按分」できているか、算出根拠を一度整理してみませんか?

税理士田澤
税理士田澤

確定申告や日々の経理に不安がある方は、税理士に任せることで本業に集中できます。

青森市で個人事業主向けの税務サポートをご検討の方は、当事務所のサービス内容・料金をご確認ください。

お問い合わせフォームはコチラ

  • この記事を書いた人
アバター画像

税理士 田澤壱高

青森市を中心に活動する、ひとり税理士です。 クラウド会計・オンラインでのやり取りを基本とし、 記帳や資料管理の手間をできるだけ減らすことを大切にしています。 完全なペーパーレス運用を目指しながら、 経営判断に集中できる環境づくりを支援します。