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資金繰り表の作り方|小さな会社がエクセルでやる最低限の資金管理

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税理士 田澤壱高

青森市を中心に活動する、ひとり税理士です。 クラウド会計・オンラインでのやり取りを基本とし、 記帳や資料管理の手間をできるだけ減らすことを大切にしています。 完全なペーパーレス運用を目指しながら、 経営判断に集中できる環境づくりを支援します。

「利益は出ているはずなのに、月末になるとお金が足りない気がする」。小さな会社やひとり社長の方から、当事務所でもよくいただくご相談です。その不安を解消する最初の一歩が、資金繰り表を作ることです。結論からお伝えすると、資金繰り表は「前月の繰越金+その月の収入-その月の支出=翌月の繰越金」という単純な足し算・引き算の表で、エクセルがあれば誰でも作れます。この記事では、資金繰り表の作り方を、基本の型・エクセルでの手順・失敗しないコツまで、税理士がわかりやすく解説します。記事の後半では、当事務所で作成したエクセルの資金繰り表テンプレートも無料でご用意しています。

資金繰り表とは?小さな会社ほど作り方を知るべき理由

資金繰り表の作り方に入る前に、そもそも資金繰り表とは何か、なぜ小さな会社ほど必要なのかを整理します。ここが分かると、あとの手順がぐっと頭に入りやすくなります。

資金繰り表とは|お金の出入りを予測する表

資金繰り表とは、一定期間のすべての現金収入と現金支出を分類・集計し、お金の過不足を予測できるようにした表のことです。

中小企業を支援する独立行政法人・中小企業基盤整備機構も、資金繰り表を「一定の区分、科目に基づき、一定期間のすべての現金収入と現金支出を分類・集計し、現金収支の動きや現金過不足の実態などを把握できるような表」と説明しています。難しく聞こえますが、やることは「今月いくら現金が残り、来月・再来月はいくらになりそうか」を先読みするだけです。

資金繰り表と試算表・キャッシュフロー計算書の違い

資金繰り表とよく混同されるのが、試算表やキャッシュフロー計算書です。役割が違うので、簡単に整理しておきましょう。

試算表は「過去の一定期間の損益と財産の状態」をまとめたもの、キャッシュフロー計算書は「過去の一会計期間に現金がどう増減したか」を後から示すものです。どちらも過去を振り返る資料です。これに対して資金繰り表は、過去の実績に加えて「これから先」の入金・支払いを予測できる点が大きな違いです。将来のお金の動きを先に見られるからこそ、資金不足になる前に手を打てます。

利益とお金は別物|小さな会社ほど資金繰り表が要る

「黒字なのに倒産する」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。帳簿上の利益と手元の現金は別物で、利益が出ていてもお金が足りなくなることは起こり得ます。

会計のルールでは、商品を売った時点で売上を計上しますが、その代金が入金されるのは1〜2か月後というのが一般的です。一方で仕入や給与の支払いは待ってくれません。この時間差で現金が尽きると、黒字でも資金が回らなくなります。とくに小さな会社やひとり社長は、資金の余力が限られるため、この「お金の流れ」を先読みしておくことが欠かせません。なぜ黒字でもお金が足りなくなるのか、その仕組みはこちらの記事でくわしく解説しています。

黒字倒産はなぜ起こるのか、資金繰りの基本を解説する記事のアイキャッチ(法人・経営者の方へ)
黒字倒産はなぜ起こる?小さな会社の資金繰りの基本と見るべき数字

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税理士田澤
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資金繰り表というと難しそうに感じるかもしれませんが、要は「お金版の家計簿の未来予測」です。まずは完璧を目指さず、ざっくりでいいので先の見通しを立ててみることが大切です。

資金繰り表の作り方①|基本の6区分と5つの数字

ここから、資金繰り表の作り方の中身に入ります。決まったフォーマットはありませんが、一般的な資金繰り表は6つの区分に分かれ、5つの数字を追う形になっています。まずはこの骨格を押さえましょう。

資金繰り表の6区分

中小機構が示す一般的な資金繰り表は、次の6つの区分で構成されています。

区分は、①前月繰越金、②経常収入(現金売上・売掛金の回収・受取手形の入金など)、③経常支出(現金仕入・買掛金の支払・人件費・その他の支払など)、④経常収支(②-③)、⑤財務収支(借入や手形割引による入金と、設備投資・借入金返済による支出)、⑥次月繰越金の6つです。本業のお金の動き(経常収支)と、借入・返済などのお金の動き(財務収支)を分けて見るのがポイントです。

追いかけるのは5つの数字だけ

区分は6つありますが、毎月チェックする数字は5つに絞れます。中小機構の例をもとに、計算の流れを見てみましょう。

数字は、①前月繰越金(前月末の現金残高)、②収入合計(その月に入ってくる現金の合計)、③支出合計(その月に出ていく現金の合計)、④差引過不足(②-③)、⑤次月繰越金(①+④に、借入や返済などの財務収支を加減した額)の5つです。たとえば前月繰越金1,400・収入合計2,200・支出合計2,000なら、差引過不足は200。ここから借入金返済100を引くと、次月繰越金は1,500になります。この次月繰越金が翌月の「前月繰越金」に引き継がれ、同じ計算を繰り返していきます。

「予算」と「実績」を両方書く

資金繰り表では、多くの場合ひと月ごとに「予算(予定)」と「実績」の2列を設けます。

予算には、これからの見積もり(計画)の数字を入れます。実績には、実際に動いた現金の金額を入れます。予算と実績を並べておくと、「予定より入金が遅れている」「思ったより支出が多い」といったズレに早く気づけるため、資金繰りの問題点を早期に発見できます。最初は予算だけでも構いませんが、慣れてきたら実績も記録して、2列で見比べる習慣をつけていきましょう。

税理士田澤
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はじめから細かく作り込む必要はありません。まずは「繰越金・収入・支出・次月繰越」の4行だけでも、先の資金が見えるようになります。区分は、会社の取引に合わせて少しずつ増やせば十分です。

資金繰り表の作り方②|エクセルで簡単に作る手順

骨格が分かったら、いよいよエクセルで資金繰り表を作ってみましょう。特別なソフトは不要です。ここでは、エクセルで簡単に作る手順を5つのステップに分けて解説します。

STEP 1

縦軸に項目、横軸に月を並べる

1列目(縦)に「前月繰越金・収入項目・支出項目・差引過不足・財務収支・次月繰越金」を並べ、1行目(横)に「4月・5月・6月……」と月を並べます。まずは12か月分の枠を作っておくと1年を見通せます。

STEP 2

収入・支出の項目を自社に合わせて決める

収入は「現金売上・売掛金の回収」、支出は「仕入・外注費・人件費・家賃・借入返済」など、自社で実際に発生するものだけに絞ります。使わない項目は削ってシンプルにするのがコツです。

STEP 3

合計と差引を「関数」で自動計算にする

収入合計・支出合計はSUM関数で、差引過不足は「=収入合計-支出合計」で自動計算にします。次月繰越金は「=前月繰越金+差引過不足+財務収支」とし、その月の次月繰越金が翌月の前月繰越金に自動で引き継がれるよう数式でつなぎます。

STEP 4

予定の数字(予算)を先に入れる

まず、これから数か月分の入金・支払いの見込みを予算欄に入力します。売掛金の回収予定や、家賃・給与など毎月決まった支払いから埋めていくと進めやすいです。

STEP 5

実績を毎月記入して答え合わせをする

月が終わったら、実際の入出金を実績欄に記入します。予算とのズレを確認し、翌月以降の予測を修正していきます。これを続けることで、予測の精度が少しずつ上がっていきます。

中小機構も、資金繰り表はエクセルの関数を使い、「収入合計」「支出合計」「差引過不足」「次月繰越金」などが自動計算されるように作ることをすすめています。

ゼロから作るのが不安なら公的なひな型・当事務所テンプレを使う

「関数を組むのが不安」「白紙から作るのは難しい」という場合は、できあいのひな型を活用しましょう。

日本政策金融公庫は、資金繰り表とその簡易版、記入例のエクセルファイルを公式サイトで無料公開しています。融資審査でも使われる様式なので、これに沿って作っておけば、金融機関に提出する際もスムーズです。まずは簡易版から始めて、必要に応じて項目を足していくとよいでしょう。

なお、当ブログでは、小さな会社・ひとり社長がそのまま使えるよう項目を絞ったエクセルの資金繰り表テンプレートを無料でご用意しました。関数はあらかじめ組んであるので、数字を入れるだけで次月繰越金まで自動で計算されます。「記入用」と「記入例」の2つのシートが入っていますので、下のボタンからダウンロードしてお使いください。

また、日々の入出金を正確に把握するには、会計ソフトでこまめに記帳しておくことが土台になります。クラウド会計ソフトの選び方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

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税理士田澤
税理士田澤

エクセルが苦手でも、公庫のひな型や当事務所のテンプレートを使えば、入力するだけで形になります。大事なのはきれいな表を作ることではなく、先の資金を「見える化」して、早めに気づける状態を作ることです。

資金繰り表の作り方で失敗しないコツ|入金・支払サイトと予実

最後に、資金繰り表の作り方でつまずきやすいポイントと、その対処法をお伝えします。ここを押さえると、表の予測が現実と大きくズレにくくなります。

入金・支払サイトのズレを正しく反映する

いちばんの失敗は、「売上が立った月」に入金を、「仕入をした月」に支払いを書いてしまうことです。実際のお金が動くのは、その1〜2か月後だからです。

資金繰り表に書くのは、売上や仕入が発生した月ではなく、実際に現金が入る月・出る月です。中小機構は、支払サイト(仕入から出金までの期間)を考慮した書き方の例として、「5月の仕入1,000万円のうち買掛金が30%(300万円)、支払サイトが2か月なら、2か月ずらして7月の欄に300万円を記入する」と示しています。売掛金の回収も同じように、入金される月へずらして書きます。このひと手間で、表の精度は大きく上がります。

予算と実績の差異を毎月チェックする

作りっぱなしにしないことも、失敗しないための大切なコツです。

毎月、予算(予定)と実績を見比べて、「なぜズレたのか」を確認します。入金が遅れているのか、想定外の支出があったのか。原因が分かれば、翌月以降の予測を修正でき、精度が上がっていきます。この積み重ねが、資金ショートの兆候を早くつかむ力になります。差異が大きい月が続くようなら、取引条件や支出の見直しを検討するサインです。

資金不足が見えたら早めに動く

資金繰り表を作る最大の目的は、「お金が足りなくなりそうな月」を前もって知ることです。

表の次月繰越金がマイナスに近づく月が見えたら、それは早めに動くべきサインです。入金を早める交渉、支払いの調整、融資の準備など、時間に余裕があるほど選べる手は多くなります。とくに融資は、必要になってから申し込んでも審査に時間がかかり、間に合わないことがあります。資金は「必要になる前」に備えておくのが鉄則です。判断に迷うときは、早めに税理士など専門家に相談することをおすすめします。

税理士田澤
税理士田澤

資金繰り表は、作って終わりではなく「毎月見直して育てる」ものです。とはいえ、ひとりで続けるのが大変なのも事実です。当事務所では、資金繰り表の作成から毎月のチェックまで、一緒に取り組むこともできます。

まとめ|資金繰り表の作り方は「シンプルに始めて続ける」が正解

資金繰り表の作り方を振り返ります。難しく考えず、まずは小さく始めることが何より大切です。

この記事のまとめ

  • 資金繰り表とは、現金の収入・支出を集計し、お金の過不足を先読みする表
  • 試算表やキャッシュフロー計算書と違い、「これから先」を予測できるのが強み
  • 基本は6区分・5つの数字(前月繰越・収入・支出・差引・次月繰越)
  • エクセルなら、合計と次月繰越を関数で自動計算にすると管理が楽になる
  • 白紙が不安なら、日本公庫のひな型や当事務所のテンプレートを使えばよい
  • 失敗しないコツは、入金・支払サイトのズレを反映し、予算と実績を毎月見比べること

資金繰り表は、きれいに作ることよりも、シンプルに始めて毎月続けることが大切です。先のお金が見えるようになるだけで、経営の不安はぐっと軽くなります。まずはこの記事のテンプレートで、最初の1か月分を埋めるところから始めてみてください。

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当事務所では、青森市はもちろん、青森県全域・全国のお客さまにオンラインで対応しています。「資金繰り表を作りたいが自信がない」「作ってはみたが、これで合っているか見てほしい」という段階でも大丈夫です。数字の見える化から一緒に取り組みますので、お気軽にご相談ください。

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