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株式会社と合同会社はどっち?一人社長・法人成りの選び方と違い

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税理士 田澤壱高

青森市を中心に活動する、ひとり税理士です。 クラウド会計・オンラインでのやり取りを基本とし、 記帳や資料管理の手間をできるだけ減らすことを大切にしています。 完全なペーパーレス運用を目指しながら、 経営判断に集中できる環境づくりを支援します。

「法人成りすると決めたけれど、株式会社と合同会社のどっちがいいのだろう」。会社をつくると決めた方が、最初にぶつかる悩みです。結論からお伝えすると、税金と社会保険の負担はどちらもほぼ同じです。違いが出るのは「設立費用」「信用力」「将来の選択肢」の3つ。

一人社長の小さな会社なら合同会社で十分なことが多く、取引先や採用・融資を重視するなら株式会社が候補になります。この記事では、その判断基準を税理士が整理して解説します。

株式会社と合同会社の違い一覧【比較表でわかる】

まずは2つの会社形態の違いを全体像でつかみましょう。「税金で損をしないか」を心配される方が多いのですが、実はそこに差はありません。

法人税・社会保険はどちらも同じ|税負担で選ぶ必要はない

株式会社も合同会社も、法人税の扱いはまったく同じです。資本金1億円以下の中小法人であれば、所得のうち年800万円以下の部分に15%、800万円を超える部分に23.2%の税率がかかります。会社の形態によって税率が変わることはありません。

消費税や法人住民税・法人事業税も同様で、株式会社だから安い・合同会社だから高いといった差はありません。社会保険(健康保険・厚生年金)も、どちらの形態でも社長ひとりの会社から強制適用です。

税金と社会保険の負担を理由に株式会社と合同会社を選び分ける必要はありません。違いが出るのは、次にご紹介する設立費用や会社の仕組みの部分です。

違い一覧比較表|設立費用・決算公告・代表者の呼称など7項目

株式会社と合同会社の主な違いを一覧にまとめます。

項目株式会社合同会社
設立時の登録免許税資本金×0.7%(最低15万円)資本金×0.7%(最低6万円)
定款認証必要(公証人手数料あり)不要
決算公告毎年必要不要
代表者の呼称代表取締役代表社員
役員の任期あり(最長10年・重任登記が必要)なし
利益配分出資比率に応じるのが原則定款で自由に決められる
株式上場可能不可

このように、違いは「設立と運営の仕組み」に集中しています。事業の中身や日々の経理・税務申告のやり方は、どちらの形態でもほとんど変わりません。

設立費用の差はいくら?登録免許税と定款認証手数料で比較

設立費用の差を具体的に見てみましょう。

株式会社の設立には、登録免許税が資本金の0.7%(最低15万円)かかるほか、公証人による定款認証が必要です。定款認証の手数料は資本金100万円未満で3万円ですが、令和6年12月1日からは「発起人全員が個人で3人以下」「発起人が設立時の株式を全部引き受ける」「取締役会を置かない」という3つの要件をすべて満たす場合、1万5,000円に引き下げられました。一人社長の設立なら、この要件はほぼ満たせます。

一方、合同会社は登録免許税が最低6万円で、定款認証そのものが不要です。つまり法定費用だけを比べると、株式会社と合同会社では設立時におよそ10万円前後の差が生じます

なお、紙の定款には印紙税4万円がかかりますが、電子定款であればどちらの形態でも印紙税は不要です。

税理士田澤
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費用だけを見ると合同会社が有利に見えますが、差額は10万円前後の一度きりの支出です。金額の差そのものより「その差を払ってでも株式会社にする理由が自分にあるか」を考えるのが正しい順番ですよ。

合同会社のメリット・デメリット【一人社長なら十分?】

「合同会社は安いけれど、何か落とし穴があるのでは」と不安に思う方は少なくありません。メリットとデメリットを事実ベースで確認しましょう。

合同会社のメリット|設立費用・決算公告・役員任期

合同会社の主なメリットは次のとおりです。

合同会社の主なメリット

  • 設立の法定費用が株式会社よりおよそ10万円前後安い
  • 決算公告の義務がなく、毎年の公告費用がかからない
  • 役員の任期がなく、任期満了ごとの重任登記(登記費用)が不要
  • 利益配分を出資比率と関係なく定款で自由に決められる
  • 機関設計がシンプルで、運営の手間が少ない

決算公告や重任登記は、株式会社では継続的に発生するコストです。設立時の差額だけでなく、合同会社は設立後のランニングコストと事務負担も株式会社より小さいという点は見逃せません。

合同会社のデメリット|知名度・代表社員の呼称・上場不可

一方で、合同会社には次のようなデメリットがあります。

合同会社の主なデメリット

  • 株式会社に比べて知名度が低く、取引先や求職者に説明が必要な場面がある
  • 代表者の肩書が「代表取締役」ではなく「代表社員」になる
  • 株式を発行できないため、株式上場や株式による増資ができない
  • 社員(出資者)が複数いる場合、意見が対立すると意思決定が止まりやすい

決算公告の義務が株式会社にだけあること、取締役の任期が法律で定められていることは、いずれも会社法に根拠があります。合同会社はこれらの規定の適用外です。

「合同会社はやめたほうがいい」と言われる理由の実際

インターネット上では「合同会社はやめたほうがいい」という意見も見かけます。その理由の多くは、知名度や信用力の問題に集約されます。

ただし、これが実害になるかどうかは業種と取引相手次第です。一般消費者向けのビジネスや、屋号・ブランド名で活動する事業では、会社形態を気にされる場面はほとんどありません。実際、外資系の大手企業にも合同会社の形態をとる会社があります。

一方、大企業との取引口座の開設や、新卒採用、金融機関からの大型の資金調達といった場面では、株式会社のほうがスムーズに進むことがあるのも事実です。合同会社の弱点は「対外的な見え方」に集中しており、税務・会計の面で不利になることはありません。

税理士田澤
税理士田澤

「やめたほうがいい」かどうかは、会社の中身ではなく「誰と取引するか」で決まります。ご自身のお客様や取引先の顔ぶれを思い浮かべて判断するのが確実ですよ。

株式会社を選んだ方がいいケース・合同会社で十分なケース【判断基準】

違いが分かったところで、実際の選び方を整理します。判断の軸は「取引先」「採用」「資金調達」の3つです。

株式会社が向くケース|大手との取引・採用強化・融資や上場

次のような事業計画をお持ちの方は、最初から株式会社を選ぶメリットがあります。

株式会社が向くケース

  • 大企業や官公庁との取引(BtoB)が事業の柱になる
  • 従業員の採用を積極的に行い、組織を大きくしていきたい
  • 外部からの出資・増資や、将来の株式上場・事業承継を視野に入れている

これらはいずれも「会社の外の相手」からの見られ方が業績に直結するケースです。設立費用の差額は、信用力への先行投資と考えることができます。

合同会社で十分なケース|一人社長・資産管理会社・コスト優先

反対に、次のようなケースでは合同会社で十分なことが多いといえます。

合同会社で十分なケース

  • 一人社長で、従業員を増やす予定が当面ない
  • 資産管理会社など、外部との取引がほとんどない会社をつくる
  • 一般消費者向けのビジネスや、屋号・店舗名で認知されている事業
  • 設立費用とランニングコストをできるだけ抑えたい

なお、どちらの形態を選んでも、社長ひとりの会社から社会保険への加入は義務です。「合同会社なら社会保険に入らなくてよい」ということはありませんので、ご注意ください。

判断チェックリスト|5つの質問で決める

迷ったときは、次の5つの質問に答えてみてください。

株式会社・合同会社の判断チェックリスト

  • 主な取引先に、上場企業・大企業・官公庁が含まれる予定はあるか
  • 5年以内に従業員を採用して組織を拡大する計画はあるか
  • 外部からの出資や株式上場を視野に入れているか
  • 「代表社員」という肩書で営業活動に支障が出そうか
  • 設立費用の差額(10万円前後)より信用力を優先したいか

「はい」が2つ以上あるなら株式会社、すべて「いいえ」なら合同会社が有力候補です。1つだけ「はい」がある場合は、その項目が事業の生命線かどうかで判断しましょう。

税理士田澤
税理士田澤

チェックリストはあくまで出発点です。同じ「一人社長」でも、業種やお客様の層によって答えは変わります。迷われたら、事業計画を伺ったうえで一緒に考えますので、お気軽にご相談ください。

後から変更できる?合同会社から株式会社への組織変更と相談タイミング

「とりあえず合同会社で始めて、あとで株式会社にすればいい」という考え方もあります。実際に変更は可能ですが、手間と費用を知ったうえで選ぶことが大切です。

組織変更は可能。ただし費用と手間がかかる

合同会社から株式会社への変更は、会社法に定められた「組織変更」という手続きで行えます(会社法第743条以下)。組織変更計画の作成、総社員の同意、債権者保護手続き(官報公告と個別の催告)を経て、株式会社の設立登記と合同会社の解散登記を申請する流れです。

費用面では、組織変更に伴う登記の登録免許税として、株式会社の設立分(最低3万円)と合同会社の解散分(3万円)がかかるほか、官報公告の掲載費用も別途必要です。債権者保護手続きには1か月以上の期間が必要で、思い立ってすぐに変更できるわけではありません

なお、登記手続きの代理は司法書士の業務です。当事務所では登記そのものは対応外ですが、変更のタイミングや税務面の影響についてはご相談いただけます。

迷ったら「5年後の事業の姿」で決める

組織変更ができるとはいえ、二度手間のコストは小さくありません。設立時に迷ったら、「5年後に誰と取引し、何人で仕事をしていたいか」を基準に選ぶことをおすすめします。

5年後も一人または家族だけで、今のお客様と仕事を続けているイメージなら合同会社。大手との取引や採用・出資で会社を大きくしているイメージなら株式会社です。将来像がはっきりしないうちに設立を急ぐ必要はありません。

会社設立を検討中の方向けのサポート内容は、サービス・料金表の「法人成り・会社設立をご検討の方へ」にまとめています。設立前の段階からオンラインでご相談いただけます。

顧問契約とスポット相談の使い分け

会社形態の選択は、法人成りのタイミングや役員報酬の設計とセットで考えると判断がぶれません。単発で疑問を解消したい方はスポット相談、設立後の経理・申告まで見据える方は顧問契約と、状況に応じて使い分けていただけます。

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税理士田澤
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「まず合同会社で様子を見る」は合理的な選択肢のひとつですが、組織変更の手間を知らずに選ぶのと、知ったうえで選ぶのとでは大違いです。設立書類を出す前の段階でご相談いただくのが、一番ムダのないタイミングですよ。

【まとめ】法人成りで株式会社と合同会社のどっちを選ぶかは「信用力の必要度」で決める

株式会社と合同会社は、税金と社会保険の負担がほぼ同じで、違いは設立費用・信用力・将来の選択肢の3つに集約されます。一人社長のスモールビジネスや資産管理会社なら合同会社で十分なことが多く、大手との取引・採用・上場や大型の資金調達を見据えるなら株式会社が向いています。あとから組織変更もできますが、1か月以上の手続きと数万円以上の費用がかかるため、設立前に「5年後の事業の姿」から逆算して選ぶのが確実です。

税理士田澤
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会社の形は、一度決めると簡単には変えられない「事業の器」です。当事務所では、株式会社・合同会社のどちらでも決算・申告のサポート内容は変わりません。だからこそ中立の立場で、あなたの事業に合う形を一緒に考えられます。設立前のご相談もオンラインで承っていますので、お気軽にどうぞ。

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