現金払いの領収書について、「紙の原本は取っておかないといけないのでは?」「保管スペースの確保が大変」と感じている方は多いと思います。
結論から言うと、電子帳簿保存法(スキャナ保存制度)の一定のルールを守れば、紙の領収書を保管しなくても問題ありません。
ただし、単に「スキャンして保存すれば良い」というわけではなく、法律で決められた「期限」や「画質」、「システム要件」を守る必要があります。
これらを守らないと、せっかくデータ化しても紙の原本を捨てられなくなってしまいます。
当事務所では、法要件を確実に満たすため、以下の流れでの管理をおすすめしています。
ここでは、その具体的なルールと、よくある間違い(Google Driveだけで完結させるリスク)について整理します。
紙の領収書を保管しなくていい理由
現在は、電子帳簿保存法により、紙で受け取った領収書であっても、一定の要件を満たせばデータ保存が認められています。
具体的には、紙の領収書をスキャナやスマホで読み取り(スキャナ保存)、最低限の同等確認(画像が紙と同じように読めるかどうかの確認)を行えば、即時に紙の原本を廃棄して差し支えありません。
これにより、以下のようなメリットが生まれます。
しかし、これには絶対に守らなければならない条件があります。
重要!原本を捨てるための「3つの必須条件」

「Google Driveにとりあえず入れておけばOK」と思っていると、税務調査で否認されるリスクがあります。
原本を合法的に廃棄するためには、以下の3点をクリアする必要があります。
1. 「いつまでに」保存するか(入力期間の制限)
領収書をもらってから、いつまでも放置して良いわけではありません。
法律上、以下のどちらかの期限内にデータ化(入力)する必要があります。
• 早期入力方式: 受領後、速やか(おおむね7営業日以内)に入力する。
• 業務処理サイクル方式: 社内規程を作った上で、最長2ヶ月+おおむね7営業日以内に入力する。
【注意】 もしこの入力期間(期限)を過ぎてしまった場合、スキャンデータがあっても紙の原本を保管し続けなければなりません(廃棄できません)。 「溜めてからまとめてスキャン」はリスクが高いため、こまめな処理が鉄則です。
2. 「どんな画質で」保存するか(解像度・カラー)
スマホで撮影する場合でも、画質にルールがあります。
• 解像度: 200dpi以上相当であること。
• カラー: 領収書や契約書などの「重要書類」は、必ずカラー(赤・緑・青それぞれ256階調以上)で読み取る必要があります。
白黒やグレースケールで撮影してしまうと、要件違反となります(重要書類の場合)。
撮影時はアプリの設定を確認し、カラーで撮影してください。
3. 「どこに」保存するか(検索機能と改ざん防止)
ここが最も重要です。保存するシステムには、以下の機能が求められます。
• 検索機能: 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索でき、かつ「日付や金額の範囲指定」や「項目の組み合わせ検索」ができること。
• 改ざん防止: タイムスタンプが付与される、または訂正・削除の履歴が残る(もしくは訂正削除できない)システムであること。
Google Drive単体利用の注意点
Google DriveにただPDFをアップロードするだけでは、上記の「検索要件」を満たすのが困難です。
Google Driveを使う場合は、ファイル名を「20231031_11000_株式会社A.pdf」のように規則的に付けて検索できるようにするか、別途Excelで索引簿を作る必要があります。
最も確実で楽なのは、JIIMA認証(法的要件を満たしていることの認証)を受けた「クラウド会計ソフト」や「経費精算システム」に直接アップロードすることです。
これなら、システム側で自動的に法的要件をクリアしてくれます。
当事務所がおすすめする運用フロー

以上のルールを踏まえ、失敗しないペーパーレス化の手順をご紹介します。
ステップ1:スマホで撮影(期限厳守!)
領収書を受け取ったら、おおむね7営業日以内にスマホで撮影します。
このとき、必ずカラー撮影になっているか確認してください。
ステップ2:クラウド会計ソフトに取り込む
撮影したデータを、freeeやマネーフォワードなどのJIIMA認証済みクラウド会計ソフトの「ファイルボックス」や「証憑保存機能」にアップロードします。
Google Driveはあくまで一時保管場所として使い、最終的な保存場所は会計ソフトにすることをおすすめします。
ステップ3:画像の確認(同等確認)
アップロードされた画像を画面上で見て、
• 文字がはっきり読めるか
• 折れ曲がりで金額等が隠れていないか を確認します。
ステップ4:紙の原本を廃棄
ステップ3の確認が終われば、その場ですぐに紙の領収書を廃棄してOKです。
以前のように、定期検査まで保管しておく必要はありません。
最後に
「紙の領収書は捨てられない」というのは過去の話ですが、捨てるためには「期限」と「保存方法」のルールを守る必要があります。
• 入力期限(約7日以内)を守る
• カラーで撮影する
• JIIMA認証のある会計ソフト等で保存する
この3点を守ることで、「紙を溜めない」「探さない」「確認が楽」という快適な経理環境を作ることができます。
当事務所では、クラウド会計の導入から、電子帳簿保存法に対応した具体的な業務フローの構築までサポートしています。
「ペーパーレス化で業務効率化を図りたい!」という方は、ぜひご相談ください。
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